「自分なりのこだわりの建物を建てたかったんです」
山形市千歳山近くの13号線沿いにあるケーキ屋さん『パティスリーアブリル』。パティシエであるI様が念願のお店を2010年4月にオープン。外観は白を基調としつつカントリー調を残した三角の屋根が目印のお店。 もともと県内外の洋菓子店で修行し、下積み時代を経て地元山形に店を建てるにあたって、店を併設でき家族が一緒に住めること・カントリー調で輸入住宅の雰囲気、を条件にお店を建てることに。福井建設との出会いはお友達の紹介。福井さんと初めて会ったときに、福井さんは人柄が良く真剣に話を聞いてくれて、この人なら私のお店をませよう!と思ったのが家づくりの始まりに。
「理想のものがないなら作ればいい!」
ケーキ屋さんとはどんなものなのだろうか?と追求したときに自分の想いを伝えるのに苦戦したという。「規制的な雰囲気ではなく、『町場のケーキ屋さん』に特化せず、一方『カントリー調』だけに特化したのも嫌だったんですよ。かと言って『モダンなお店』にもならず、近寄りがたい雰囲気にならないよう、どんな方にでも受け入れられるお店になりたかったんですよね。『モダン+カントリー』を融合したものは、果たして山形で可能なのかどうか…。思考錯誤しましたよ。それだけじゃないそれ以上の何かが欲しかったんです。」と話すIさん。口で説明するよりも、実際に見て感じてもらった方が良いと考え、福井さんといろんなケーキ屋さんを見て回ることに。およそ1年をかけて、関東から東北まで、また東海地方まで足をのばしたことも。いろんなお店を参考にしながら、基本は『みんなに受け入れられるお店』を目指し思考錯誤の末、ついにI様の想いが形になることとなったのです。
「お客様とのふれあいが楽しいです」
『モダン+カントリー』が見事に表現されたのが、実際は四角の建物なのに、屋根が急勾配になっていることによって三角の屋根が出来上がり見事に三角の建物に見えるようになった。実はここがポイントで、三角の部分は屋根裏兼夫婦の部屋になっており、ここを利用してケーキ屋につきものの鋼材を置き場として考えたのだ。鋼材は大量にあるので小さな空きスペースをあますことなく有効活用出来るうってつけの場所だ。 また、厨房の中の配置なども福井さんと一緒に配置から動線まで決めたそう。「最初は業者さんにお願いしたのだけど、なかなか納得のいくものができなくて。それなら自分でやっちゃおうと」と話すI様。一方、お客様の販売スペースからは、厨房が見える仕組みに。大きな窓を一枚挟んだだけでも窓を取り入れて開放的にすることによって、お客様にパティシエの作っているところを見てもらいつつ、実際に食べ物を作る現場をみて食に対する安心感を補った。この窓のおかげで、お客様との距離がより一層近くに感じるという。声をかけらることもしばしばで、そんな時はお客さんとゆっくり話し込んでしまうことも。
店舗内もお客様の動線を計算して作られた。商品棚は、なるべく低い位置に設定し、目線を低くすることによって商品をよりじっくりとみてもらえるよう、人間の自然な動きから考えて設置したり、ショーケースから入り口までの程よい距離など、どれをとってもI様のお客様とお店に対する愛情から溢れている仕組みだ。 店と自宅を兼用にしたことによって、家族との時間も増えたそう。「以前は自宅と店舗が離れていて、家族との時間がなかなか取れなかったんです。だけど、今ではちょっとした休憩時間にでも家族の顔が見れるから安心なんです。」と嬉しそうに話すかたわら、今日もパティスリーアヴリルのケーキを求めてやってくるお客様でひっきりなし。家にも食にもこだわったI様だからこそこれからどんなケーキが生まれるのか楽しみだ。
山形市松見町 パティスリーアヴリル(I様) | |
家族構成:夫婦、こども2人 | |
延床面積:58坪 | |
屋根:洋瓦 | |
外壁:塗壁、内壁:塗壁 |